小林やすおの一般質問:心臓電気ショック<AED> 区立公共施設に配備決定!

心臓マッサージ現在日本では、突然の心停止で亡くなる人が1日に100人とも言われています。
100万人の昼間人口を抱える千代田区では、大災害時に帰宅困難者が60万人発生すると試算されています。

11月21日の午後3時頃、赤坂のカナダ大使館で駐日カナダ大使とスカッシュを楽しんでいたのは、47歳の高円宮さまでした。高円宮様は突然倒れられ、3分後に東京消防に連絡があり、大使館員による心臓マッサージが開始され、その後、救急隊員が到着しましたが、倒れてから8分以上たっていました。
救急隊員は心電図をとり、不整脈が出ていたので、規則に従い医師の指示を受け電気ショックをかけましたが、心臓の拍動は戻らず、死因は「心室細動」と発表されました。

それが「突然死」です。どうして宮様を救えなかったのでしょうか。救命行為、心配蘇生と規定に従った救急隊の電気ショックは平成14年当時、最善の救命行為でありましたが、電気ショックをかけるのが5分早ければ救命の可能性があったと思われます。しかし、当時の法律で電気ショックは医師、救命士、航空機の客室乗務員にしか使用が認められていませんでした。それが、平成16年7月1日より、一般市民にも自動体外式除細動器AED(電気ショック機器)の仕様が認められました。現在、同じ状況が起きたら、まずそばに居る人に救急車の手配とAEDの手配を依頼し、心臓マッサージを施し、AEDが到着すれば除細動開始できたと考えます。

1.心室細動

心室細動とは心臓がけいれんし、血液を送り出すポンプとしての機能が果たせなくなる状態のことです。この状態になると助かるチャンスは1分経過するごとに約10%ずつ失われ、10分 後にはほとんどの人が死に至ります。この「心室細動」に陥った心臓を正常な状態に戻す唯一の方法が、電気ショックによる除細動で、AEDはそれを行うため の機器です。

2.除細動

除細動とは、突然の心停止の原因となる重症不整脈に対し、心臓に電気ショックを与えることで心臓が本来持っているリズムに回復させる行為です。

3.AED

AEDとは、電気ショックが必要な状態か否かを機械が判断し電気ショックをかける機器の略称です。

AED慶應義塾大学医学部 三田村秀雄教授によりますと、突然死の死因のほとんどが心臓疾患で、それを心臓突然死と言い、その大部分が「心室細動」という病気であるとのことです。
年間約5万人が「心室細動」で亡くなっているというデータが出ています。
AEDの特徴を簡単に説明しますと、救助者はAEDのスイッチを入れ、患者に対して粘着性の電極パットを貼り、機械の指示に従い電気ショックのボタンを押すだけです。

AEDは、誰でも簡単に扱うことができます。

  • 1)救助者は心電図を読む能力や医学的専門知識の一切を必要としません。
  • 2)電気ショックが必要であるか否かは機械が判断し、音声により指示してくれます。
  • 3)電気ショックが必要でない場合は、音声により指示し、また電気ショックは作動しません。
  • 4)重さも3kgと軽く、持って走ることも出来るため容易に救命行為が行えます。

又、昨年起きた中越地震では、車中で寝泊りをして亡くなった方の報道がありましたが、ストレスと過労による心臓発作が原因であり、避難所に避難した方々のなかにも度重なる余震のストレス、慣れない共同生活で発作を起こした方もあると思われます。
千代田区でも避難所運営協議会を立ち上げ、避難所対策として実践的な訓練の取り組みと医療スタッフの必要性を述べています。このAEDによる除細動は病状によっては医療スタッフ以上の働きをすることは事実であり、避難所の運営及び訓練計画にAEDの講習を加えるとともに、AEDの配備をすべきと考えます。

消火器で全ての火災を消化することはできませんし、度々使うこともありません。

同じようにAEDも使う頻度はあまり無いと考えますし、全ての突然死に対して有効なわけではありませんが、消火器と同じように必要であると考えます。
日本における心疾患の死亡は年々増加傾向にあり、今後も高齢化社会の進展により心筋梗塞など心疾患が増加するものと思われます。このことから、区民によるAEDの使用は、多くの人を救うためには必要不可欠であり、多くの方が救命講習を受け、AEDを使用した救命手当てにより尊い命が救われることを願っています。

答弁要旨 保健所長(医師)

デモンストレーション心臓に疾患を持つ人が、外出中に急に意識を失って倒れた場合、現場に居合わせた人がいかに素早く119番通報と、心臓蘇生法を行えるかが生存率を大きく左右します。

心臓停止している状態のうちでも心室細動等を起こしている場合には、心臓の動きを正常に戻すため、除細動器を用いることが医療現場では一般的です。

(写真は消防署員のデモンストレーション)

AEDの自動化が進み、専門知識がなくとも簡単な講習を受けることで一般市民も利用できることとなりました。AEDの使用を組み込んだ心配蘇生法が広く行われるようになれば、急な心停止を起こした人の救命率は大きく向上することが期待されます。

従いまして、AEDの使い方を含めた救命救急法の普及が不可欠であり、AEDは今後も絶えず改良が重ねられ、一層簡便で安全な機器になっていくと思われます。

AEDにつきましては、救急救命法の普及と合わせて、公共施設等への設置やイベント会場への貸し出しを具体的に進めて参ります。

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